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セルフに恋して⑫

+NADECO+ : ’いま来るってさ’

+NADECO+さんはそう言って部屋から退場した。

続けてmomimon2ndさんも光を蒔いて消える。

Deep Inferno9番ホールに残るのは僕1人となった。

+NADECO+ : ’2人でちゃんと話しなよ。大丈夫だ、問題ない。’

部屋の外からテレパシーのように差しこまれるメッセージ。

僕はお礼を言い、本当に来てくれることを願いながら

身を固くして火山の焔を目で追った。

☆きらら☆さんがログインしました。

画面上部に浮かぶ文字。インしてくれたのだ。

とにかく謝ろう。恋愛感情があったのは本当だけど・・・

彼女がそれを望んでいないのだから、せめて仲間として友達として

普通に話せる関係に戻りたい。以前のように。

☆きらら☆ さんが入場しました。

現れた黒髪のエリカ。

待ち望んだ姿だった。懐かしく愛おしい。

心が音を立てる。指が少し震える。

彼女の前に駆け寄る。

僕>☆きらら☆ : ’こんばんわ!’

☆きらら☆> : ’こんばんわ’

僕>☆きらら☆ : ’来てくれてありがとう。この前はごめんなさい’

☆きらら☆> : ’いえー、謝らないで’

画面から伝わる彼女の持つ雰囲気に僕は惹かれていったのだ。

モニタ上のアバターでしかないのに、なぜこうも心がざわめくのだろう。

でももう好きになってはいけない。

僕>☆きらら☆ : ’僕のせいで☆きらら☆さんがインできなくなったのだと思うと’

僕>☆きらら☆ : ’本当に申し訳なくて’

☆きらら☆> : ’・・・’

☆きらら☆> : ’そうね、あなたのせいね’

僕>☆きらら☆ : ’だからもうあんな事・・・好きだ、なんて言わないから’

僕>☆きらら☆ : ’また普通にインしてほしい。’

僕>☆きらら☆ : ’そして以前のように露天でチャットできたらと願ってます。’

ずっと伝えたかった言葉を紡いで貼りつけた。

☆きらら☆> : ’ありがとう^^’

笑顔の顔文字が沁みる。

許してもらえるのだろうか。

☆きらら☆> : ’でもね’

☆きらら☆> : ’あなたは謝らなくていいの。謝るのは私’

黒髪のエリカが僕を見る。

少し間があって彼女は言った。

☆きらら☆> : ’あのとき恋愛感情はないと思ったのは本当。’

☆きらら☆> : ’その後インせずに1人でいたら気づいたの。’

☆きらら☆> : ’あなたとの露天が、楽しくて幸せな時間だったことに。’

☆きらら☆> : ’私はあなたの新作にいつも驚かされて興奮したし、’

☆きらら☆> : ’あなたのまっすぐな感情や話し方が可愛くて、癒されていた。’

☆きらら☆> : ’なんだか自然に仲良くなったから日常になっていた。’

☆きらら☆> : ’そもそもネットでの恋愛なんて考えたことなかった。’

☆きらら☆> : ’でも私は、一人の異性として、あなたに惹かれていたみたい。’

思いがけない言葉に、コーヒーカップを掴もうとした僕の左手は空を切った。

☆きらら☆> : ’それなのに「恋愛感情ない」と言ってしまった自分がイヤで’

☆きらら☆> : ’あなたにあわせる顔がなくて。’

+NADECO+さんの言っていたお互いの思い違い・・・

僕は恋愛感情を伝えたことで嫌われたと思い、謝ろうとしていた。

一方彼女は僕に「恋愛感情がない」と断言したことを後悔している?

☆きらら☆> : ’NADEちゃんから、あなたが謝りに来てると聞いて、’

☆きらら☆> : ’私、いま戻って言わないといけないと思ってインしたの。’

ドラゴンが煽るように鉛丹色の空を旋回する。

火山の噴火が一瞬止んだ。

☆きらら☆> : ’私もあなたが好きです’

☆きらら☆> : ’もし許してもらえるなら、また仲良くしてください’

信じられなくて僕は画面を何度も見返した。

あきらめていた恋。彼女も同じ気持ちでいてくれていた。

嬉しくて幸せで「また宜しくお願いします!」と打ち込むのも

指が震えて時間がかかった。

渡せずにいた新作"Light Star ☆"を渡すと早速着てくれた。

☆きらら☆さんはこれを着てまた一緒に露天に立つと約束してくれた。

すべてが回りだした気がした。

一度終わった恋。僕は勢いで誘ってみた。

「よかったらマリノスVSレッズの試合観に行ませんか?」

試合はもう週末に迫っていた。

彼女がマリノス好きなのは知っていたけれど

いきなり"会う"のは断られるだろう、と覚悟しながら。

「絶対行く!」彼女は即答した。

チケット完売であきらめていたらしい。

仲直りした上、会える・・・。

顔も声も何も知らない。

リアルとネットは違うかもしれない。

でも僕はネットでの彼女を知っている。

ネットの彼女は、リアルの彼女の一部だ。

だから彼女を信じられる。会うことに躊躇いはなかった。

僕>☆きらら☆ : ’新横浜駅で待ち合わせでいいかな’

☆きらら☆> : ’了解。何か目印あるかしら?’

僕は一寸考えて

僕>☆きらら☆ : ’☆きらら☆さんがわかる格好で行くから大丈夫005

☆きらら☆> : ’あら、それは楽しみw’

彼女なら見つけてくれると確信していた。

彼女にリアルで会うまでの一週間。

それまでの空白を取り戻すように露天で並んで、話をした。

MDNを見つけるまでの経過を話すと、彼女はおりりさんに腹を立てた。

でも出会えたのはおりりさんやうっかり玉子さんのおかげだと思い直し、

2人で彼らにお礼を述べた。

momimon2ndさん、+NADECO+さんにも関係を戻すことができたと報告。

「神は言っている。ここで終わる運命ではない」momimon2ndさんが

意味深なエールを送ってくれた。

そしてサッカーの日。

新横浜駅、正面口の改札で僕は彼女を待っていた。

トリコロールカラー、トマトレッドのユニフォーム集団が

改札を通り抜けていく。スタジアム外のサポーターは穏やかだ。

肌寒さは残るが雲ひとつない秋晴れ。絶好の試合日和。

改札前で待ち合わせする人は案外多く、皆思い思いに佇んでいる。

"彼女にはわかる格好"で僕は改札から少し離れたところに立っていた。

通り過ぎていくサポーターたちの雑踏。

駅のアナウンス。ツアーコンダクターの案内の声。

腕時計を見る。約束の時間まで間もなくだった。

「こんにちは」

奏でるような声。慌てて顔を上げると黒髪の女性が前にいた。

「きららさん?」

「そうですー」彼女は口に片手を当てて笑いを堪えている。

僕の着ている服―真っ白なTシャツ―を指さしてとうとう吹き出した。

「セルフが白いです!」

彼女の弾けるような笑顔を見て、僕はなんだかいけそうな気がした。

その後バイト仲間たちと合流。

本当に彼女がいたのか・・・と目を丸くされた。

試合の後、僕は☆きらら☆さんに"Light Star ☆"の元となった服を

プレゼントした。その日から僕たちの交際がはじまった。

露天で話して、リアルで会って・・・

そんな日々が1年続いたある夜。

僕は彼女に電話した。

「いまパンヤのポストにプレゼント贈ったから見てほしいんだ」

「急になに?」

マウスを操作する音がきこえる。

「あらエリカのセルフ。新作?」

携帯から届く彼女の声が悲鳴に変わった。

「ええええええええええええええええええええええええ」

「大声出しすぎ~」

「だって!!」

Sk

「セルフでプロポーズ・・・」

「返事、聞かせてほしいんだ」

彼女はまだパニックが収まらないようで息が荒い。

「リアルでちょ・・・・って言いそうになったわ」

彼女は何度か深呼吸した後、言った。

「喜んでお受けします」

あのときセルフが白くなかったら・・・

お互い思い違いをしたまま二度と会うことがなかったら・・・

いろいろな偶然と出会いに感謝して、

僕たちはいつのように2人並んで店を出した。

WizWizの鴇色の空の下で、いつまでも。

セルフに恋して FIN

------------------------------------------------------

完結(*^.^*)

てなわけで、☆きらら☆は今のわしの嫁です。

・・・なワケないいい(笑

でもこれを書いたことで、同名のkiraraさとの出会いがあったさね。

読んでくれて、ご夫婦で応援してくれたんよ(*^.^*)

お2人のエピソードをアレンジさせてもらった箇所があったり(笑

ナデさにもアドバイスいただいた~

「こんな感じで大丈夫か?」「大丈夫だ、問題ない」そんな会話だったかな(ぉ

他にも名前を使わせてくれた皆さんに感謝。

実名じゃないから許してね!うんうん。

最後までこの連載に付き合ってくれた皆さん、本当にありがとう。

コメントや露天で声かけてくれて嬉しかったさ(o^-^o)

多くの方に楽しみにしてもらえたので、最後まで続けることができた。

そのうち①~⑫までをまとめて、修正して載せる予定なりよ~

それではまたヽ(´▽`)/

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コメント

す・素晴らしい文章力です・・(〃▽〃)
情景が浮かんできそうで・・

エピソード・・(笑  
ナイスアレンジで♪

明日は○○スタジアムで、逢ったときには
『セルフが白いですよ~♪』って大声で

言おうっかな~(笑

投稿: kirara | 2010年11月13日 (土) 23時35分

待ってました!感動の最終回!!

まずは長編小説、お疲れでしたm(_ _)m

っつーか、プロポーズΣ( ̄ロ ̄lll)
なんか照れるじぇ(*/∇\*)
そのセルフ・・・流行ったりしてw

やっぱりはるさまの実話だったのですね(マテ
スッキリするハッピーエンドで良かったo(^∇^)o
感動した!!(古いかΣ(ノ∀`*)

投稿: 真紀 | 2010年11月13日 (土) 23時36分

こっちまで照れちゃいそうな文章(*ノノ)
良い終わり方(始まり方?)でしたよ(*´ω`*)

「なんだかいけそうな気がした。」を、某詩吟な芸人さん風に読んでしまった…(;'ω')
作品全体。ある一点を除いて楽しませて頂きました(ノω<。

投稿: おりり | 2010年11月14日 (日) 00時44分

おもしろかった!!
でもまさか結婚とはww 展開早すぎて笑ったww

投稿: ナデコ | 2010年11月14日 (日) 01時07分

感想は現地で~w
相手は赤くないけどな…

投稿: saki | 2010年11月14日 (日) 02時10分

お疲れ様でした。
そして。
ありがとうございました。
いつも次いつかな?と待ち望んで読ませて
頂きました。
おしまいなのは寂しいけど
ハッピーエンドでよかったです。

投稿: absurdfool | 2010年11月14日 (日) 07時11分

ハッピーエンドヾ(*´∀`*)ノ゛キャッキャ
すごく素敵なおはなしでしたー(´ω`*)

はるさん(。・ω・。)おつかれさまでした

投稿: タマ | 2010年11月14日 (日) 10時03分

まさかの急展開でびっくり!!
また書いてくださいね~w

いいシリーズです(*ノ゚▽゚)ノ

投稿: ゆりな | 2010年11月14日 (日) 20時15分

すごい感動したわぁ…
自分のキャラはさておきとしてねw
まさかプロポーズまで持っていくとは思いませんでしたわ~
第一期おつかれさまでした^^

第二期は~
きららさんとの生活を赤裸々に…
もしくは恋するディアスですね!

投稿: momi | 2010年11月14日 (日) 21時23分

BADENDどこー?
昼ドラの展開はどこー?wwww

投稿: ネイ | 2010年11月14日 (日) 22時20分

>kiraraさ
文章褒めてもらえて嬉しす(o^-^o)
こちらこそ素敵なエピソードをありがとう。
連載だったからこそ、途中で出会いがあり、
織り交ぜてのアレンジができたさね!
半袖の白いシャツを着ていくのはムリでした(笑

>真紀さ
ほんと、ありがとね~
って実話じゃないってばよ(゚ー゚;
プロポーズT・・・いつでもコピーするから言ってね(笑

>おりりさ
ありがとうう!
詩吟風に読むのが正解なのでバッチリです~
ある一点・・・一点だけならいいさね(o^-^o)

>ナデさ
えへへヽ(´▽`)/
小説って・・・どうとでもできるんだぜ・・・
やりたい放題でした(笑

>sakiさ
読んでくれてありがとう!
今日がレッズ戦だったら完璧だったさね(笑

>あぶさ
楽しみにしてくれてありがとうね!
おかげで無事完結することができたよヽ(´▽`)/ヤター

>タマさ
ハッピーエンドにしてよかったあ~~
こちらこそありがとうね(o^-^o)

>ゆりなさ
こんな終わり方は最初考えてなかったんだよ(笑
最後まで読んでもらえて感謝ですヽ(´▽`)/

>momiさ
感動うれしす・・・
いや・・・どこにも第一期とか二期とか書いてないお・・・
はやくディアスから離れてええええ(^-^;

>ネイさ
一時、昼ドラ展開も考えてた(゚ー゚;
でもパンヤ小説だからね、リアルを追求するより
楽しい方向で・・・と意見ももらってこうなりました(o^-^o)

投稿: はるれい | 2010年11月15日 (月) 00時38分

読むの遅くなっちゃったけど、とうとう完結したんだね♪
おつかれ様です。
とっても面白くて楽しみだったからちょっと残念だけど(ノ∀`)☆

書籍化、アニメ化、実写化...今後どれになるのか今から楽しみです(´ω`)全部?...問題ない。

投稿: aricia☆ | 2010年11月15日 (月) 14時23分

>ありしゃ
ありしゃの小説に刺激受けつつここまで来れたさ!
楽しみくれてありがとうねヽ(´▽`)/
実写化・・・本人たちに出演してもらうしか(笑
次は・・・わかっているよね(゚ー゚;

投稿: はるれい | 2010年11月15日 (月) 23時27分

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